大人になるってすてきということとブローチは可愛いというおはなし。
中学生の頃 会うたびに母がおくりものをしてくれました。
暮らしは楽ではなかったと思いますが
ある時はブラウスやスカートを買ってくれました。
母は物を選ぶとき とても早くてパッと決めます。
わたしはそんな母に全然似ていなくて
同じスカートでも それぞれの布の柄の違いにうっとりして迷ったり
本当に必要か考えて今度にするとか言い出すので 
いつ頃からか電話でこんなふうに言われるようになりました。
「待ち合わせの日までにほしい物をゆっくり選んで決めておいてね。」
3回続けてブローチをもらったことがあります。
動物好きなわたしを思って母が選んで買ってきてくれました。
でもその可愛らしさが少しも解らなくて大人っぽく見えてしまいました。
長い間ずっとそっとしまっておいたのですが
何年か前に 突然可愛らしく見えてきました。
新聞に載っていたおはなしをノートに書きとめたことを思い出しました。
随筆家の橋本治さんという方のおはなし。
「いいと思うものには 共通する感覚があるんですよ。
幼児的ではなく成熟のもうひとつ向こうにある可愛さ。いいものは可愛い。」
そういうことがわかるようになったのだとしたら
年をとるって思っていたよりもすてきと思います。
大切で可愛いいくつかのブローチは ひとつ落としてなくしてからは
カーテンに留めて眺めています。今では自分でブローチを買うほど好きです。
わたしも誰かにすてきなおくりものができるようになりたいです。