小さいおはなし
伝えるおはなし。 (3)
立ち上がることができなくなってからは
伝えたいことがあると顔を少し起こして
目で合図をして教えてくれました。
夜は傍で眠りました。
身体と手が触れるくらい近くです。
手に触れてくれたので手をつなぎました。
何度も夜が過ぎて
顔を上げることも手を動かすこともできなくなり
目もくぼんで開かなくなりました。
どうにもできなくなって
伝えようとして初めて「ワン」と声を聞かせてくれました。
ささやくような小さな声でした。
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